第3章 3
「え、え、えぇーーー!!
それ俺のお茶!喋りすぎてもう喉からっからだから飲もうと思って買った俺のお茶!!
トシなんで勝手に飲んでんの!?飲みさしでわりいより俺に悪いよね!?
まず俺だよね!?かえでちゃんもなんで平然とした顔で飲んでんのぉぉぉ!?」
「近藤さん、早いとこずらかろうぜ。
城の連中に見つかったら事だ。」
「あれ?俺の話聞いてた?ねえ?聞いてた?」
「近藤先生、見つかったらまずいです。早く行きましょう。」
「あれ?なんだか涙で前が見えねーや」
これだけ主張しても平然とした顔を貫き通す2人に
近藤の目には涙が光ったのだった。
車は発進し、屯所を目指す。
景色がどんどん街の中の方に流れていく。
とりあえず脱出出来たことに一安心。
久しぶりに見る街は今日も賑わっていた。
ふと、かえでは疑問に思ったことをそのまま聞いてみた。
「近藤先生は警察の偉い方なのですか?」
「ん?城の人達から聞いてなかったか?
俺は対テロ用特殊部隊真選組ってとこで
局長をやらせてもらっている。トシは副長だ。
まあ税金泥棒なんて言われてるけどなー!ガッハハッ!」
「近藤さん、笑うとこじゃねえ。」
「真選組…。」
街の中で通り過ぎる人達が噂をしていた事がある。
皆口々に悪い噂を話していたのを思い出す。
城に帰ってからじいやに真選組とはなにかと聞いたが答えては貰えなかった。
ただ想像できるのは、きっと危ない仕事だということ。
近藤の笑顔を見ているとそんな事とは程遠い人に見えるのに。
街の景色はぐんぐん流れていく。
笑っている人、困っている人、下を向いている人。
活気のあるお店に、閑古鳥のないている店。
この街の全て、
私の好きなもの全てを
この人達は守っている。