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ある晴れた日に。

第3章 3








「ここです。ここから塀の外にでれます。」


木製の扉を押し開けると中にはコンクリート製の階段が除けた。
屈んで入らないといけないぐらいの小さな扉。

偽物の襖を開けた先にあって、知らない人間はまったく気づかないようなものだった。


「お前…。こんな場所知ってんなら1人で逃げれたんじゃね?」

「ふふ。さあ参りましょう!」


ひくつく土方を余所目にかえでは颯爽と中に入っていく。

土方も仕方なしに続くと、中は暗く蒸していた。


「あちぃな…。」

「これから30分から40分はかかります。覚悟してくださいね?」


「えっ…」




**************






結局30分ちょっとで到着したが、外に出た2人は
滝のような汗をかいていた。


「そ、外ぉぉ……み、水ぅぅ…」

「マヨネーズさん…私死にますぅ…もうダメですぅ…」

「し、しっかりしろ。確かこの先に自販機が…」


謎の連帯感を生み出した長い長い階段。
階段が長い事もさることながら猛烈な暑さ。

それを乗り越えた2人は戦友と言わんばかりで肩を組み
支え合いながらよろよろと歩いていた。

当たりに人影はないが、誰が見ても不審な光景だった。


そこに1台のパトカーが止まる。


「なにしてんの、トシ…。」

「近藤さん!!どうしてここに!!」

「近藤先生ー!!無事でしたかー!」


止まったパトカーから顔を覗かせたのは近藤だった。
知り合って間もないはずの2人が肩を組み、何故かよろよろと歩いているのをみて
なんとも言えない表情をしている。

これぞ神の助けと言わんばかりにずかずか乗り込み
土方は助手席に、かえでは後部座席に座った。


「なんでってそりゃあ、ここで待ち合わせしてただろう?俺たち」


未だに訝しげな目でみる近藤。
土方は運転席側にあるペットボトルケースにある未開封のお茶を見つけると
有無を言わさずキャップを開け、半分飲み干した。
そして、その残ったお茶をかえでに渡す。


「飲みさしでわりいな。」


かえでは無言で受け取るとごくごくと喉を鳴らしながら
その全てを飲み干した。





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