第3章 3
「ここです。ここから塀の外にでれます。」
木製の扉を押し開けると中にはコンクリート製の階段が除けた。
屈んで入らないといけないぐらいの小さな扉。
偽物の襖を開けた先にあって、知らない人間はまったく気づかないようなものだった。
「お前…。こんな場所知ってんなら1人で逃げれたんじゃね?」
「ふふ。さあ参りましょう!」
ひくつく土方を余所目にかえでは颯爽と中に入っていく。
土方も仕方なしに続くと、中は暗く蒸していた。
「あちぃな…。」
「これから30分から40分はかかります。覚悟してくださいね?」
「えっ…」
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結局30分ちょっとで到着したが、外に出た2人は
滝のような汗をかいていた。
「そ、外ぉぉ……み、水ぅぅ…」
「マヨネーズさん…私死にますぅ…もうダメですぅ…」
「し、しっかりしろ。確かこの先に自販機が…」
謎の連帯感を生み出した長い長い階段。
階段が長い事もさることながら猛烈な暑さ。
それを乗り越えた2人は戦友と言わんばかりで肩を組み
支え合いながらよろよろと歩いていた。
当たりに人影はないが、誰が見ても不審な光景だった。
そこに1台のパトカーが止まる。
「なにしてんの、トシ…。」
「近藤さん!!どうしてここに!!」
「近藤先生ー!!無事でしたかー!」
止まったパトカーから顔を覗かせたのは近藤だった。
知り合って間もないはずの2人が肩を組み、何故かよろよろと歩いているのをみて
なんとも言えない表情をしている。
これぞ神の助けと言わんばかりにずかずか乗り込み
土方は助手席に、かえでは後部座席に座った。
「なんでってそりゃあ、ここで待ち合わせしてただろう?俺たち」
未だに訝しげな目でみる近藤。
土方は運転席側にあるペットボトルケースにある未開封のお茶を見つけると
有無を言わさずキャップを開け、半分飲み干した。
そして、その残ったお茶をかえでに渡す。
「飲みさしでわりいな。」
かえでは無言で受け取るとごくごくと喉を鳴らしながら
その全てを飲み干した。