第3章 3
「お、おい!待て待て待て待て!
なんだマヨネーズさんって!やめろ!
俺は土方十四郎だ!」
「そうですかマヨネーズさん!
早く脱出しましょう!長引くと近藤先生も大変でしょうし」
「おいぃぃぃ!!スルーか!?スルーなのか!?」
かえでは廊下をキョロキョロと見回す。
土方はこれ以上こいつに何を言っても無駄だとさとり
説得を諦める。
かえでは誰も廊下にいない事を確かめると
土方の手を握った。
「うぇっ!?はっ!?な、なんだ!!」
「参りましょう!!」
かえでは土方の手を引き、廊下を駆け抜ける。
きっと子供が迷子にならないように手を握る。
それぐらいの意味合いだ。
右へ曲がる左へ曲がる。右、斜め右、左、部屋を開けて奥の襖を直進…。
かえではもうしっちゃかめっちゃかに走っていた。
なにかあてがあるらしく本人は道がわかっている様子だが
土方はこれはもう1人じゃ戻れないとため息をついた。
「おい、あんた!俺は1人で走れる!
ちゃんとついていってやるから、手離せっ!」
「そうですか。わかりました。」
かえでは目をぱちくりさせてそう言うと土方の手を離した。
ほっとしたのも束の間、視界からかえでが消えた。
「えっ!?はっ!?ちょっ!どこだ!?」
「やっぱり手を繋いだ方がよさそうですね」
「どわー!!お前もっと普通の道を通りやがれ!」
かえではひょこっと土方の真下から顔を出した。
丁度股間の下に顔を出したため、土方は慌てて退いた。
「これが最短ルートなんです。
それとも正面からでますか?」
とくに気にした様子はなくけろっと言ってのける。
土方は舌打ちし、かえでのところへ向かった。