第3章 入部試合
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あの時も、そして今も…いや、あの時以上に選手一人一人をちゃんと見ていて理解してくれる。
そして、誰よりも選手を信じてくれるそんなマネージャーがいてくることが何よりも烏野の“いいところ”だ。
「そうだな。選手もだけど香みたいな理解のあるマネージャーがいてくれるってことも烏野に来てよかったって思える理由の1つ…だな!」
香の頭をガシガシとなでてるとコートから視線を感じた。
顔を上げると田中と月島の2人と目が合う。
大地に至っては視線は合わないものの、何となく黒いオーラ。
一瞬固まると香が髪を直しながら『どうしたんですか?』って俺を覗き込む。
「…いや、香がマネージャーになってくれてよかったなーって思っただけ」
『スガ先輩、それ以上おだてても何も出ません!』
香は照れたように視線を泳がせたあと、俺を見てふわっと笑った。
『わたしもマネージャーになってよかったって思ってます!』
潔「香ちゃーん、ちょっと手伝ってー」
『あ、はい!行きまーす』
清水に呼ばれ香は立ち上がって駆け出した。
俺は赤くなっているだろう顔を伏せて
あの笑顔を自分だけのものにしたい…そう思った。