第3章 入部試合
菅原sideーーー
“烏野はいいところ”そう言われたとき、無性に嬉しくなった。
香がマネージャーを初めて1年。
田中に誘われて入ってきたとき、背が高いやつばっかりであの香がちょっとビビってたのを思い出した。
清水の後ろをちょろちょろしてたこの子が、1人で仕事ができるようになった頃、口下手な清水が嬉しそうに香のこと話してたなぁなんて考える。
潔「香ちゃんね、キラキラした目でバレーしてる菅原たちのことを見てるの。それから私に“バレー部のマネージャーになってよかったです”って言ってきたから私も思わず“マネージャーになってくれてありがとう”って言っちゃった」
「へぇ、清水がそんなこと…それまたなんで?」
潔「前さ、澤村がオレンジコートに行く…って言ったとき、3年生に笑われたでしょ?あのあと3年生のマネージャーたちも澤村何言ってんだって笑ってたの。だけど香ちゃんは先輩にむかって“澤村先輩たちが部活以外でもたくさん練習してること知らないんですか?”って言ったの。そして“目標もってる選手をサポートするのがマネージャーの役目じゃないんですか”って」
「え、神山に俺ら練習してるって言ってねぇべや?そもそも誰にも…」
潔「私も気づかなかったけど香ちゃんは気づいてたみたい。実はね、菅原たちが知らない内にたくさん痣を作ってるから、あれは秘密の特訓してるんじゃないかって私に聞いてきたの。“練習してるのひけらかすわけでもなく、コツコツ頑張ってるのがかっこいい”って」
「…よく見てんのな」
潔「私も香ちゃんみたいなマネージャーにならなきゃって思った。“バレー部のマネージャーになってよかった”って思えるように頑張らなきゃ」
「じゃあ、俺らはそんなマネージャーにガッカリしてもらいたくないから、オレンジコートに連れていけるように頑張るな」
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