第3章 入部試合
菅「…ってわけ。」
『なるほど…勝ちたいがために仲間のことを置いてけぼりにしちゃったのか…』
いい仲間に恵まれてたら…王様なんていうことにもならなかっただろうな。
そんなこと思いながら試合を見つめる。
丁度影山くんがサーブを打って、澤村先輩がレシーブしたところだった。
澤村先輩をみて、影山くんが驚く。
そのまま山口くんのスパイクが決まって得点が入る。
『スガ先輩。影山くんにとって、烏野はとてもいいとこですね』
菅「ん?」
わたしはコートを眺めながら続ける。
『だって、王様って言われてたことを知ってても、受け入れてくれる人がいる。そして、そんな過去を知っても知らなくても、自分が上げるトスを喜んでくれる人がいる…それだけで、彼はもう中学の時の彼とは違う。』
菅「あぁ…」
『あとは、彼自身が変われるか…ですね』
スガ先輩に視線を送ると、真剣な顔からニカッと笑顔になってわたしの頭をガシガシとなでた。