第6章 『由良の途を』②
『何であんたの為に変わらなきゃいけないのよ!!んで命令すんな駄犬!!』
「なっ!だ、駄犬って、ヒドくないッスか!?」
わざとらしく
大きな身振りでショックを表す犬に
私は追い討ちをかけるように言葉を連ねる
『うるさいわね!あんたのせいで快適な下宿生活ぶち壊しよ!!何でよりによってお隣さんがあんたなの!?なんて私運無いの!?』
「いや、運めちゃくちゃ良いじゃないッスか!こんな素敵なモデルが隣りなんて…って、話変えないでくださいッス!!」
『自分のこと、素敵とか…アンタ本当におめでたい頭してんわね…』
ジトッとした目を向けると黄瀬は
頭がパンクする前に話を切り上げることにした
「とにかくっ!明日また部屋来るからそん時、入部届けにサインするまで帰らないッスからね!!」
『んなっ理不尽な!!』
黄瀬は勢いよく立ち上がり、食べ終えた食器を 名前の分も流しに置き、勢いのまま玄関まで行く
「ご馳走様でしたぁ!!」
そう、言い残し扉をきつく閉めた
私は唖然としたまま
嵐の様に過ぎ去った
黄瀬が閉めた扉を
口を開けながら見つめた