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短篇集

第6章 『由良の途を』②




思わず名前っちの部屋に飛び込んで来たけど
どうしよう、余計に嫌われたら
俺、当分立ち直れないッスよ?マジで


でも、来て良かったと思ってしまう


今俺は「暇でしょ?」と名前が好意で点けてくれたテレビに顔を向けながら
慣れた手つきでサクサク料理をする名前を横目で眺めていた


なんか


今、すっげぇ幸せな気分



名前ちゃんからしたら随分迷惑な話だろうけど

なんてゆうか、新婚さん、みたい

いや付き合ってないんだけど、寧ろ嫌われてんだけど!


でも、料理しだすと
もう俺の事忘れるぐらい集中してる名前っち見てたら
そういう気分になってしまう

ここで「お風呂、先入っとく?」とか笑顔で聞いてくれたりすれば
マジで雰囲気出んのになぁ

そんな妄想を勝手にしていれば、
不意に名前がこちらを向き
俺がずっと自分を眺めていたことに気付くと、至極嫌そうな顔をして、こちらを見ない様に手元の調理に集中する


あー…どうしたもんスかねー


自慢じゃないスけど
俺と目が合った女の子は、大抵顔を真っ赤にするんスけど…

名前っちは、今も、あの入学式の時も
嫌な顔しか、してくれないんスよね



捻くれてるって、言われるかもしんないッスけど




俺はその顔に







惚れてしまったんスよ



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