第6章 『由良の途を』②
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やっとこさ出来上がったハンバーグ
美味しいかどうかは食べてからのお楽しみ
ナツメグとローズマリー、そして某食卓番組で言っていたコーヒーゼリーを入れるのが私流
前回作った時は、自分で言うのもなんだけど美味しかった
人に食べてもらうとなると少し緊張してしまう
黄瀬の前にスッと
お気に入りの青いお皿に盛ったハンバーグを置く
「わぁっ名前っちって料理上手なんスね!!」
『それなりに出来なきゃ下宿してないわよ』
「あー…そりゃそうっスね」
あ、声のトーンが暗くなった
…流石に少し、冷たくし過ぎなのかも知れない
そう思い、冷蔵庫から取り出したお茶を汲み
そっと黄瀬に差し出す
『…他、何か欲しいものは?あるものなら出すけど…』
そう優しく問い掛ける
すると、今迄の私とは違ったからか
黄瀬はキョトンとする
「…あ、いや///…特に何も。それより名前っちも、一緒に食べたいッス!」
『っ!……そう、ね…』
なんなのこいつ、そんな嬉しそうな顔されると思わなかったじゃないの
思わず少し赤面してしまった顔を隠すために、キッチンへと自身の分の晩御飯を取りにいく
黄瀬の対面に腰を降ろし、一緒に取って来ていたフォークとナイフを互いの前に置く
「あ、名前っちのハンバーグ、俺のより小さくないッスか…?」
『ん?当たり前でしょ?あんたは男なんだから。黄瀬の大きく作ったのよ。私のが普通サイズなの』
それ位の気遣いは私でも出来るんだから
名前には当然の事だったが、黄瀬にとってはそんな些細な優しさも
心が躍って仕方がなかった
(あー…俺、
情けねぇほど
名前っちに依存してしまいそうッスよ…)