第5章 『由良の途を』黄瀬涼太
主に女性の歓声で
なんだなんだと騒ぎの中心を覗き見れば
一人の男がいた
金髪だ
高身長で
しかも容姿端麗
あぁなるほど、ありゃ女が騒ぐのも無理はない
騒ぎに納得したので、もう満足だ
新しく出来たお友達とのぎこちない会話を再開しよう
…が
しようにも、そのお友達は
金髪に釘づけだった
…まぁ、そうだよね
高校生になったんだ
皆、高校デビューを目論んでいても不思議ではない
あの金髪が同じクラスなんだから
きっと毎日賑やかになるんだろうなぁ
出会って間もない友達を茶化すのは地雷を踏むに等しい
だから私は、黙って何も考えず
ただ人当たりよくニコニコしていることにした