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短篇集

第5章 『由良の途を』黄瀬涼太




春の桜が咲き乱れ

散り行く無数の花びらを


幾人もの人が仰ぎゆく




入学式当日


真新しい制服に身を包み
すっかり絵の具の匂いが染みついていることに、私は少し顔を緩める
いつもより早く起きられた
これは私が“入学式”に対してやはり興味を抱いている証拠ではなかろうか
まぁ、当日から遅れて行けば、悪いイメージしかつかないだろうから
それだけは避けたいという願望からかも知れないけれど
まぁそんなことも
どうでもいい

人生、成る様にしか、成らないのだから

事務的にクラスを確認し、中学の友達とは違うクラスなんだと少々ガッカリし、
そうして事務的に、席近くの人に話しかける
決して私を悟られない様に
瞳を潰して笑いかけるの
口を大きめに開くのがポイントね
ほうら、疑念なんて抱かない

これが私と思い込む

別に皮肉っているわけじゃない
寧ろ羨ましい
私もそんなに純粋になれたら……





突然クラスが湧いた

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