第3章 死柄木と一般人①
『…っどうして…助けてくれたの……?』
立ち竦みながらも名前は問う
「……」
その質問は
俺にとって何故か
答えを出すことを戸惑わせた
返答をしないと決め、ポチを見遣るが
その目は依然、答えを求めていた
つい目線を外してしまい
どこか気まずくなるのも嫌で
気に食わなくて
誤魔化す様に話題を逸らす
「ジンジャーエール、どうした。中学生にもなってまともにおつかいも出来ねぇのか」
『なっ!』
今から行くんですー!とムキになる名前
「あっそ…俺は帰る」
『えっ!?』
驚く名前に
「まさかついて来てくれるとでも思ってたのかよ」とバカにする
名前からすれば
今しがた強面の男共に襲われかけたばかりな為、一人になるのは心細かったのだ
そして死柄木は
そんなことは分かっていながら
わざと「帰る」と言葉にする
いわばただの意地悪だった
『一人にしないでください!!ここら辺怖いです…!!!』
涙目ながらに訴える元一般人のポチ
その様を流し目で見ながらも
どこか自己承認欲求が満たされていく感覚に満足をする