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短篇集

第3章 死柄木と一般人①





「何やってんのかなぁ」


私がこんな目に遭うことになった元凶の声がした


「…は?」

死柄木の突然の登場に
男達は動きを止める

「なんだお前…気持ち悪い」
「邪魔だからどっか行けよ」


しっしと手を振る男に構わず
死柄木はゆっくりと歩を進める

「嫌だなぁこういう登場は…これじゃなんか俺がヒーローみたいじゃん」

はあ…と頭を掻きながら溜息を吐く


『死…柄木さん……?』


ピク…

俺は名前を呼ばれて、少し驚いた

まさか俺の名前を覚えていたとは…
黒霧が一度位口にしただけなのに

いや、名前を呼ばれただけだ
何を気にすることがある


一瞬過ぎった感情に蓋をするよう
思考を切り替える


「…なあ…そいつ、俺の仲間なんだよね
乱暴は良してくんないかな?」


にじり寄りながら男達を見遣る

「仲間あ?ボーイスカウトかなんかのかなあ?」
「オニーサン空気読んでよ」

突如現れた線の細い男、死柄木に
男達は余裕綽々とニヒルな笑みを浮かべ揶揄う


「あー…くそ」

煽るのは好きだが煽られるのは大嫌いで
段々と苛立ちと面倒臭さが肥大化して行く


「…いいから、離せよ」

男達の前で止まり
名前の腕を掴む男を睨む

その男は目の前の気味悪い様相をした死柄木に一瞬怯むが

「鬱陶しいな」

そういって痺れを切らした男が一人
自身の個性であろう、手を肥大化させてそれを死柄木に向け振り下ろす……





そこからは一瞬だった





その男が死柄木によって姿形も残らず消されたことが引き金になり
他の男も敵と言わんばかりに個性を向ける
そして一様に塵と化した


『……ッ』


顔を青くし固唾を飲む名前とは反対に
死柄木は鬱憤が晴れた様な
清々しい表情をしていた

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