第3章 死柄木と一般人①
その頃
バーを出てまだワンメーターも歩いていない筈の名前は
「おいおい嬢ちゃん、こんな所で何してるんだぁ?」
「見た所、中高生ぐらいじゃねえか」
「学校行かなくて大丈夫ですかー?」
『行けたら行きたいんですけどねははははは』
乾いた笑いに引きつった笑みを向けながら絶望する
今日を人生最悪の日と言わずしていつ言うんだろう
「ここじゃなんだしさ、ホテル行こうか」
「近くでいい場所知ってんだよね」
「何ならお金も出すよ?そういうの目当てなんでしょ?」
何もいらないから何もしないで欲しい
大の大人3人に囲まれて
もう足がガクガク
いつ失禁してもおかしくないぞ
「声あげないって事は肯定の意と捉えて問題ないよね?」
「よーし、久々に楽しもうや」
下卑た笑いを唾と一緒に吐き出しながら
男達は名前の腕を掴む
『ぎゃっ!!』
「可愛くねえ声」と腕を掴んだ男が言う
『い、いや…助けて…』
殺されかけた時とはまた違う恐怖が身を包む
『ほんとに…や…やです…わた、私…お遣いの最中で…』
「おつかいて、何歳だよ」
「初めてのおつかいかなー?」
「あっちの方も初めてだったりしてー?」
わははっと汚く嗤う男達に
恥ずかしさと、何だか情けなさが込み上げる
「うっわマジなんじゃん。当たり引いたな」
無骨な男の手が私の腕を掴み
ズルズルと進みたくもない方向へと引き摺られる
『やっ!!離して!!!』
「うるせえな」
そう振り上げられた拳にお腹を殴られ
意識が宙を浮く
もう終わりだ
そう思った時