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短篇集

第3章 死柄木と一般人①




「お前には俺が面倒だと思うこと全部やってもらう。分かったかポチ?」

『………』


「お前だよ新入り」


ポチと面と向かって言われたことに
まさか自分のことを指して呼んだ名称だとは思っていなかったようで
『はっ!』と名前は驚いていた

『せ、誠心誠意…頑張ります…?』

「なんで疑問形なんだよ」


阿保か、と頭を小突く


カウンターの向こうでは黒霧が
死柄木が新しく覚えた遊戯の光景を
生易しい目で時折見ながら食器を洗っている


「手始めに何して貰おうかなあ」

何でもいいから、こき使って遊びたいと思い
「そうだ、じゃあ近くのスーパーでジンジャーエール買ってこい」

『えっ!!?』


名前はそんなこと!?と吃驚する

「ここ出て右行ったらその内見えてくるよ」

そう言い小銭を手渡す

『それでは…』と、こちらをチラチラ見ながら出入り口の方へ近づく名前に


「あぁ、そういえば


逃げたりしたら、分かるから」

『っ!!!』



その念押しは
彼女の中の一縷の望みを打ち砕くのに十分だったようだ



がしゃんとドアが閉じ
また黒霧と二人になる

「…黒霧、あいつ見張っとけ」

「はい」

そう相槌を打ちながら
黒霧は個性を発動させる

「しかし死柄木、ここいら一帯の治安があまり宜しくないのは…」

「分かってるよ」

「では…」


「分かってないなぁ黒霧…これは、遊びだぜ?」



わざと一人で行かせたんだよ


あいつで遊ぶためにさ

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