第2章 牛島若利とマネージャー
短い帰宅路を
何を話せばいいのか
話題をこねくりまわしていれば
「突然、皆の前で悪かった。驚かせてしまっただろう」
『ぁ…い、いえ、確かに驚きましたけど』
ははは、と乾いた笑いを零す
『…あの、それで、話というのは…?』
もう単刀直入に聞いてみた
「そうだな、君に今日言いたかったことは、君を、好きだということだ」
『……へ?』
あまりにも先輩から飛び出してくるとは思えない単語に
脳の処理は追いつかない
しかしそんな私を待つことなく
先輩はいつものように真面目な顔をして話を続ける
「今日、天童に言われるまで気付いてはいなかった。だが、これが恋だと言われた時、俺は探していた答えを見つけたと確信したんだ」
立ち止まり
向かい合い
背の高い先輩を精一杯首を曲げて目を合わす
その目に嘘偽りはなく
私はその目に吸い込まれるような、そんな感覚に襲われた
「苗字、先月の練習試合を覚えているか?」
『えっ…それ、牛島先輩が前日怪我をして出られなかったやつのことですか?』
「そうだ」
それがどうしたんだろうか…?
あの時は確か、私の隣りに座って
悔しそうに試合を見つめる牛島先輩に
私はただただ
無力さだけを感じていたんだ