第12章 次は世話焼きの……秀吉さん!
町娘に声を掛けられ、少しお店に寄った。
『とても綺麗な顔立ちですね。』
町娘『あら、ありがとう。
そういってもらえると嬉しいわ。』
町娘はにこにこと笑顔でお話してくれる。
どうして声を掛けてくれたのか、と疑問に思っていると
町娘『だって貴方、殿方の中でも
綺麗な顔立ちなんですもの。
惹かれてしまったら、声を掛けずにはいられないわ。』
『僕は綺麗な顔立ちをしてるんですね。
貴女のような美しい人に言われるなんて』
どうしましょう。とつい苦笑いをしてしまった。
秀吉『朝日ーー!!!
どこにいるーー!!!!』
店の外で叫ぶ秀吉さんが
僕のことを探してる。
『はははっ!
僕のこと、真剣に探してるっ』
お腹を抱えて笑ってしまった。
見つかったら小言を散々聞かされそうだ。
町娘『あんなに必死な秀吉様は初めてみるわ。』
柔らかく微笑みながら
町娘も秀吉さんをみている。
秀吉『まったく、これだけ追いかけても見つけられずとは……。
まさか、何かあったんじゃ…!?』
『ん?
なんか慌ててるなぁ。どうしたんだろう?』
遠目で町娘と一緒に秀吉さんを見ていた僕は
首を傾げた。
町娘『さぁ、素敵な殿方。
そろそろ捕まってあげなさいな。』
私は楽しめました。と礼を言われて
『そうするよ。
お話し相手になってくれてありがとう。』
町娘に向かってふわりと微笑んだ。
途端、急に顔を赤くして。
町娘『あ、なた、政宗様に…。』
『ん? 政宗さん?』
町娘『い、いえ、何でもないわ!』
『…? そっか。
良かったら、君の名前を教えてくれない?』
今度お礼をしにくるよ。と一言付け加えて
町娘『名乗るほどでもないわ、お互い、
素敵な殿方と町娘でいましょう。』
『そんな、』
秀吉『朝日ー! どこだー!』
町娘『早く行きなさいな。』
後ろ髪を引かれる思いで
秀吉さんの所へ行った。
『それじゃあ、また会えることを。
素敵な町娘さん。』
手を振り、店を出た。
ポツンと1人で残った町娘は
町娘『さて、お仕事をしなくちゃね。』
立ち上がり、店の奥へと消えてった。