第6章 城内散歩
僕の部屋の前で人影がみえた。
目を凝らして、人物を見据えると……
『蒼ちゃん?
部屋に戻っていたんじゃ……』
蒼『朝日様、お帰りなさいませ。
あの、秀吉様が中へ……』
『秀吉さん?
僕の部屋に来ちゃったの?』
蒼『はい……。
お戻りになるように伝えたのですが……』
『そっかそっか、わかったよ
部屋の前で待っててくれて有難う』
寒かったね、と申し訳ない気持ちで頭を撫でて
部屋に戻るよう伝えた
『なんだよ、秀吉さん……』
スッ……(襖を開け)
『夜更けに何用ですか、秀吉さん』
秀吉『お前こそ、何で夜更けに散歩なんてしてるんだ、明日は稽古だろ』
『暑かったから、という理由ではいけませんか?』
本来ならば、普通に接するけど
女の言葉が出そうなので、あえて三成みたいに言う。
秀吉『まぁいい。
明日の稽古のことだが、信長様の稽古場を使わせてもらうことになった。』
『あぁ、彼処にあるところですね。』
秀吉『何で知ってるんだ、教えてないぞ』
『3日間の城内散歩と、詳しくは先程
信長様に稽古をつけてもらったので』
秀吉『お前、信長様に稽古をつけてもらったのか!?』
『はい、鍛えてやると申されたので』
驚いたような、呆気にとられている秀吉。
その表情をみると、滅多にないことなんだろうなぁ。
秀吉『ま、まぁ、とにかく。
明日はそこで稽古をするからな』
『わかりました。』
秀吉『それと……』
『はい?』
秀吉『髪、長すぎだ。
男の癖に……』
『いいじゃないですか、長くても……』
秀吉『男なんだ、しっかりしとけよ。』
『煩いなぁ、僕の勝手でしょう
貴方は僕のお兄様でもないんですから』
髪のことを言われたのが癪に障ったので
つい、強く言ってしまった。
秀吉『っ!
お前、俺が優しく言っていれば!!』
苛立ったのか、いきなり押し倒された
流石、男の人の力……
『うぐっ……!!
い、たぁ……!』
痛い、痛い……!
こわ、い……
『っく……、ひっ……く……!』
秀吉『お、前……?
何で、泣く……?』