第7章 近づく ~淡きひかり~
俺の耳に囁いた、ひいろの頚すじはすぐそばにある。
その頚すじに、ゆっくりと舌を這わせる。びくりと、ひいろの身体が反応する。
ゆっくりと舌先で、触れるか触れないかのぎりぎりの所を、耳まで撫で上げる。ふるふると震えるひいろをそのままに、耳の穴にゆっくりと舌をさし入れ、そのままゆっくりと舐めあげる。
くちゅりと音がすると、我慢の限界か、ひいろが顔をそむけ逃げようとする。逃がさぬよう顎を捕らえ、なおも耳を舐め責める。
最後に耳朶を甘噛みする頃には、ひいろは力が入らないのか、ぐずぐずと座り込む。それを抱き留めて、胸に抱き直すと、真っ赤な顔をして濡れた瞳で、俺を見上げてきた。
「お仕置きだ。大人をからかうな」
「……からかってなんか……」
「ふっ、そんなに真っ赤な顔で震えて。小娘が」
「小娘なんかじゃ…ない」
「小娘だ。どうせ花街の女たちに聞いたのだろ。手練手管とやらを」
「…………」
「図星か?」
「……私だって寂しいこともあります」
うつむいたひいろの身体が、小さく見える。
やり過ぎたか……一瞬、ひいろの言葉に自分を失いそうになる。だか、今はまだ流されたくはない。
『臆病』確かに、今の俺には似合いの言葉かもな。