第1章 はじまり
城に戻り、天守へと歩みを進める。
ーー しかし、御館様も武将の絵を描かせるとは、随分な戯れ言をおっしゃられる。しかも俺を描くとはな……。政宗辺りが聞いたらなんと言い出すやら。
一人そんなことを考えながら歩く。
天守まで来ると、襖の向こうから賑やかな笑い声が聞こえる。
ーー この時間にこれだけの人が集まり、和やかな雰囲気ということは、その中心にいるのはことねだろう。
ことねは、ある日突然俺達の前に現れた。
500年先の未来からやって来たと話し、そんな嘘のような話を信じさせた。ことねの真っ直ぐな性格と、うそのない行動がそうさせたのだろう。
そして、その花のような明るい存在が、人の心を動かし離さなかった。どの武将も、御館様でさえも、その姿と心に魅了された。
もちろん、そういう俺も例外ではないがな。