第1章 はじまり
俺の気配を感じたのか、中から声が掛かる。
「光秀、いつまでそうしているつもりだ。」
御館様の声に、俺は襖を開け中に入る。御館様を上座に、輪を描くように俺以外の武将が揃い、ことねは信長様の隣に座っていた。俺は荷物を手に、ことねと政宗の間に座る。
信長 「吉右衛門は息災であったか。」
光秀 「はい。是非また、御館様に御目にかかり、お礼申し上げたいとの事でした。」
俺のその言葉に、御館様はにやりと悦に入った笑みをを浮かべた。
信長 「ほぅ……受けてきたか。なかなか興が湧く話であろう。」
光秀 「御館様もお人が悪い……俺なんぞでは、面白味もないでしょがね。」
政宗 「なんだ?何か面白いことでもあるのか?」
思った通り政宗がすぐに食いついてくる。
秀吉 「いろは屋に行っていたのか。なんの話だ?」
秀吉は相変わらず、俺の動きが気になるらしい。