• テキストサイズ

イケメン戦国 ー とおまわり ー

第6章 近づく



好きな男が女と一緒に現れた。しかも手を繋いで。

ひいろが隠れるには、十分な理由なのだろう。そう思い、俺の後ろに隠れたひいろに声をかける。


「ひいろ……大丈夫か?」


首だけで振り向いてみると、ひいろは俺の浴衣の袖を掴み、もう一方の手で自分の口元を押さえ、眼を閉じていた。俺の声に軽く頷き、眼を開ける。悲しげな色をした眼で俺を見た後、そっと微笑み俺の影から出て、家康達を待つ。こっそりと俺の袖を掴んだまま。


その頃にはことねも俺とひいろの存在に気が付き、嬉しそうに笑い、手を振りながらやって来た。






「光秀さん、ひいろと一緒にお祭りですか」

「あぁ、見ての通り祭りに来た」

家康は、いつもより少し不機嫌そうに見え、隣にいるひいろが、慌てて頭を下げ挨拶をする。

「髪、あげてるんだね。一瞬分からなかった」

家康は、一瞬ひいろを見て、どこか拗ねたように視線をずらす。

「なんだ家康、素直に綺麗だと言ってやったらどうだ」

俺の言葉に、家康の隣にいることねが大きく頷く。

「そうだよ、家康。声かけたかったから急いで来たんでしょ?」

「なっ、何言ってるのことね!?余計なこと言わないでくれる」


ことねの言葉に、家康は珍しく大きく反応を見せた。そんな家康を見て、俺とことねは顔を見合わせ、密かに笑い合った。
/ 382ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp