第4章 おもい~その2~
俺が引き受けるまで、動かぬつもりか……。
わざとらしく、大きく溜め息をつき、番頭に声をかける。
「番頭。お前のひいろに対する思いは分かった。だが、俺が抱くかどうかは別の話だ。あいつの気持ちもあることだろ?」
俺の言葉に番頭は顔を上げる。
「ありがとうございます。光秀様、それで十分にございます。私の思いは近いうちに実を結ぶでしょうから……」
ゆっくりと微笑む番頭を少しにらみ、俺は言う。
「ならば番頭、対価を貰おう。お前の素性に興味がでた」
俺ばかりがやられてばかりもおれまい。
それもまた察していたのか、番頭はにっこりと笑う。
「お察しの通り、私は武家の出でございます。主君の名は、どうか御容赦願います。
若い頃に、とある花魁に入れあげ、勘当された身を今のお店の旦那様と大番頭さんに拾い上げて頂きました。そして、お嬢様に救われたのです」
「救われた……と……」