第4章 おもい~その2~
静かに襖が開き、一礼し番頭が部屋に入る。
俺の前に来るときちんと正座をし、姿勢を正した。
「光秀様。いつもご贔屓にして頂きありがとうございます。ご注文頂いた南蛮の書物が入りましたので、お持ちしました」
丁寧な挨拶の後、番頭は数冊の書物を取り出して渡してきた。
「早かったな。頂戴する。………さて、お前が書物の使いだけで来るはずもあるまい。何用だ」
「さすが光秀様。お察し頂きありがとうございます。その前に、お人払いをお願いいたします」
番頭のその言葉に、俺は襖の向こうに視線を投げる。
程なくして、人の動く気配がした。
「ほう……あれに気づいたか。うちの者にはまだ鍛練が必要なようだな」
「ありがとうございます、光秀様。私共の商売も裏家業のようなものですから…」
暫くの沈黙の後で、番頭が居住まいを正し俺を見る。
そして、覚悟を決めたように口を開く。
「光秀様にお願いがございます」
「……どうした、随分と改まるな」
一呼吸おき、番頭が口を開く。
「お嬢様を、ひいろ様を抱いていただけませんか」
その言葉に、俺は絶句する。
そんな俺を見たまま番頭は、続ける。