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イケメン戦国 ー とおまわり ー

第21章 動く3




「待たせたな」


声とともに秀吉が姿を表す。俺の顔を見ると一瞬間をおき、思い出したように眉間に皺を寄せる。


「光秀、やりすぎだぞ」


先程の拷問についての小言がはじまる。


「お陰ですぐに落ちたろ」

「だが、やりすぎだ」

「そうか?あの位かわいいものだ。死にはしない。それに、優しいお前がすぐに手当てをしてくれるだろ」

「はあー、まったくお前は……」


秀吉が何時ものようにため息をつく。
俺は何時ものように振る舞えているだろうか。

こうして秀吉と組む時には、俺が攻め秀吉が口説く。暗黙の了解の元に、そんな役割が出来ていた。無論秀吉はそれが本来持っている気性なのだから、特に演じる必要はなく、その存在自体が俺を止める一つの理由となっていた。特に何も言ったことはないが、わかっていたのだろう。秀吉とは、そういう男なのだから。



「それで」

「あぁ、二人の場所はつかめたが、顕如の居場所まではわからないそうだ」

「だろうな」

「ったく、少しは期待ぐらいしろ。それと、糸野屋に加担している家臣の中には、妻や娘などの身内を側室つきの女中にさせられている者が多いらしい」

「人質、というわけか」

「おそらくな。あの男は妹だそうだ」

「そうか」

「あぁ」

「弱味を手の内に置いておくとは、なかなか良い選択だ」

「お前な!」

「だが、俺の好みではないな」

「当たり前だ!
ともかく、すぐに信長様にお伝えして、二人の元へ急ごう」

「それがいいだろう」


先程の座敷を目指し急ぎ戻る。
秀吉の何か言いたそうな顔には、気づかぬふりをして……。
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