• テキストサイズ

イケメン戦国 ー とおまわり ー

第21章 動く3




「そうか、お前は顕如を知っているのか。ただの下っ端、というわけではないみたいだな。ならば色々と聞かせてもらおう」


その言葉と共に潜めていた秀吉の殺気が、男へと向けられる。


「なっ……なんのことだ……そうだ!俺は何も知らん!だっ、だから顕如などというやつも知らん……」


先程までとは違う秀吉の様子に、男の顔に焦りの色が見えはじめる。


「まあ、待て秀吉。俺が代わろう」

「……光秀」


詰め寄ろうとする秀吉の肩に手を置き、振り向いた秀吉に目配せをする。微かな気配をくみ取り、秀吉は俺に場を譲る。

男の表情がよく読めるよう、蝋燭を近付ける。それは勿論、俺の顔を相手に見せる為でもある。


「残念だな、何も知らないとは。だが、思い出す、ということもあるだろう」


顔を近付け薄く笑ってやると、男もつられたように引きつった笑いを見せる。


「おっ、思い出すことなど、なっ……何もない!」

「そうか、残念だ」


部屋の隅に置いてある道具箱から五寸釘を取り出すと、男の左足を押さえ一気にその甲へと突き刺す。男は歯を食い縛り、かろうじて声を押さえた。


「ほおぅ、口だけではないようだな」

「だっ……黙れ……」

「残念だな。今、俺は機嫌がいいのでよく喋るぞ」

「…何も……知ら……」

「ただ、少し気が急いていてなぁ」


そう言うと笑みを深め、男の足に浅く刺さっている五寸釘に足を乗せ、ゆっくりと力を込め踏み込む。


「ぐっ、………ぐぬぁぁぁぁぁ!!」


こらえきれない男の叫び声が牢内に響き、秀吉が顔を背ける。

/ 382ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp