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イケメン戦国 ー とおまわり ー

第19章 動く




「では、目的はなんだ」

「主様のような、いい男を抱くことですよぅ。
それとも、何者かであった方が良かったですかぃ」


一瞬、女の気配が変わった気がして顔を上げる。見上げた女は、ふわりとした笑みをうかべたままだった。視線が合うと女は笑みを深め、片手を上げ俺の喉元から顎先にかけてゆっくりと指先を滑らせた。


「主様が望むなら、どなたかの代わりでも、何者にでもなりますよぅ。今宵は主様だけのものですからねぇ」


そう言うと女は俺の顎先にたどり着いた指先を離し、その胸に包み込むように俺を抱いた。柔らかな感触が俺を包む。冷たく見えた白い肌は、思ったよりもあたたかかった。

久しぶりの女の香り。ことねとも、ひいろとも違う女の香り。この香りに溺れてしまえば楽になれるのだろうか。この女がいうものから逃れられるのだろうか。

何かの暗示にでもかけられたようにそんな思いがよぎる。酒か女のせいにして、今宵だけでも忘れらるならそれもいいのかと、ぼんやりと考える。


「今宵だけのことですよぅ」


見透かしたような女の声が耳に届き、促されるように立ち上がると、奥の座敷へといざなわれた。

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