第2章 気づき
襖が開き、ひいろが一礼し中に入ってくる。光秀に向け、居ずまいを正し、頭を下げる。
ひいろ「光秀様、お疲れの所、本日はありがとうございます。別の部屋に準備致しましたので、そちらにご移動いただけ……」
吉右衛門「これ、ひいろ。光秀様はまだお茶も召し上がられていないのですから、あまり急かすようなことでは失礼ですよ。」
ひいろ「あっ、申し訳ありません。」
一瞬驚いたような顔をしたひいろだが、すぐに表情を戻し、額が畳に付き添うなほど頭を下げる。
光秀「茶など飲まずとも大丈夫だ。ひいろ、案内しろ。」
俺の言葉に顔をあげ、ひいろは小さく微笑んだ。
ひいろ「ありがとうございます、光秀様。」
そして、席を立ち俺達は部屋を移動した。少し心配そうな吉右衛門をおいて。