第2章 気づき
番頭がいなくなると、吉右衛門が話を続ける。
吉右衛門「北のネズミが巣に帰ったようですね。無駄な時間が長引かずようございました。」
光秀「ほう、もうお前の所にも届いたか。成る程、だから俺が今日来ると……まさか、今回の件はお前が動いていたか?」
吉右衛門「まさか、私はただの商人でございます。噂が届くのが、他の方よりも幾分か早いだけでございます。」
光秀「……そう言うことにしておこう。」
互いに眼を見る。深くは探りあわないように、互いを確認しあい、それぞれ笑みをこぼす。
「失礼します。」
時を図ったかのように、廊下から声がかかる。
吉右衛門「ひいろだね。お入り。」