第14章 離れる2【家康編】
「偉いぞ、家康」
「俺のことはいいですから」
隣で見ていた秀吉さんの嬉しそうな声が聞こえる。
隣にいたの忘れてた……
「よし、行こうなひいろ。大丈夫、心配するな」
「ほら、行くよ」
「はい」
俺と秀吉さんに促され、ひいろもやっと首を縦に振る。秀吉さんがひいろを支えようと手を差しのべるのより早く、ひいろの手を取り歩き出す。
「熱 あるから、倒れないように掴まえとく」
「あっ、ありがとうございます」
「家康、ゆっくり歩いてやれよ」
「分かってます」
「ほら、もう少し肩を支えてやれ」
「分かってますから」
「ひいろ、大丈夫か?」
「分かってますから!」
「家康、お前に聞いてないぞ」
「………」
後ろから世話を焼きながらついてくる秀吉さんに、少しげんなりしていると、隣のひいろが小さく笑う。
やっぱり、笑ってる顔っていいね
でも、辛そうだな
繋いだ指先からひいろの体温が伝わってくる。上がったままの熱を早くなんとかしてあげたい。