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イケメン戦国 ー とおまわり ー

第14章 離れる2【家康編】




ひいろの描く絵は、はじめから丁寧に細部まで細かく描かれていた。
まるで本物のような絵を初めて見た時には、本当にひいろが描いたのか疑うほどだった。
それを伝えてしまうと、怒ったような少し嬉しそうな微妙な顔をして、自ら描く姿を見せてくれた。

それから絵を頼む時には、いつもなるべく現物をひいろに渡し、描いてもらうようにした。生の植物が手に入らなければ、乾燥されているもの、それでもなければ見つかるまで待つ。

生きた植物を見たひいろの絵は、生きた絵となった。
真剣に絵に取り組むひいろの姿が、俺の植物図鑑を作りたいという思いの真意を汲んでくれてるかのようで、内心嬉しく思った。

だからって、お互いに絵以外では大した話もなく、たまに絵以外のことを話すことがあっても、ひいろは俯いたままだった。




そんなひいろが一度だけ、今みたいな瞳を真っ直ぐに俺にぶつけてきたことがあった。

ことねが現れ、ことねを中心に色々なことが目まぐるしく変わりはじめた頃、忙しさを理由に薬草図鑑やいろは屋から足が遠のいていた。
元々、図鑑を作るのは、政務や鍛練などの合間を縫ってのこと、そんなに頻繁にいろは屋に通っていたわけではないけど、いつもより間を置いて久しぶりにいろは屋を訪れた時のことだった。
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