第1章 はじまり
ことね 「この絵はそのひいろさんが描いているってこと?」
光秀 「あぁそうだ、ことね 。俺は今日初めて会ったが、お前と同じ位の年頃の娘だ。」
ことね 「凄いねぇ。こんなに素敵な絵が描けるなんて。」
光秀 「あぁ、そうだな。だが、お前の針子の腕だって大したものだぞ。だから、吉右衛門もこれをよこしたのだろう。」
ことね 「ふふふっ。ありがとう。光秀さんに普通に褒めて貰えるなんて、得した気分だね。」
ふにゃふにゃ笑うことね を見て、その場にいるすべての者の口元が緩む。
三成 「ことね 様の笑顔も、絵に負けないくらい素敵ですよ。」
ことね 「やだ/// 笑顔なら三成くんの方が素敵だよ。」
家康 「……二人とも………めんどくさい。」
そんなやり取りに、皆が笑う。御館様でさえも穏やかな笑みを浮かべる。もちろん俺も。
そんな笑い声が、いつの間にかこの城の日常になっていた。