第1章 はじまり
ことね 「わぁぁ! 凄い、写真みたい!」
政宗 「しゃしん……?」
ことね 「あぁ、えっと、本物みたいだってこと。」
ことね の声に、みんなが画集を覗き込む。
秀吉 「ことね 、また未来の言葉か。しかし、見事な絵だな。」
政宗 「あぁ、本当に動きだしそうだな。」
三成 「こちらの花も、匂いたつような美しさですね。」
みんな感心したように、絵を眺めている。ひいろの絵は実に忠実に描かれており、鳥の羽毛の柔らかさや、花びらから透ける光の加減さえも分かるほどだった。
家康 「……これ、ひいろの絵だね。」
だまって絵を見ていた家康が、ボソリと呟く。
信長 「ほぅ。ひいろを知っているのか?家康。」
家康 「……薬草図鑑を作るのに、手伝ってもらってますから。………あの娘の絵なら確かだよ。」
秀吉 「なに、吉右衛門の娘のひいろか?あの娘絵が描けるのか?しかも、こんな見事な……」
三成 「ひいろさんですか。私も存じ上げております。そうですか、娘さんでしたか。」
政宗 「……!?ちょっと待て。俺だけ知らないってことか?」
急に名前の出たひいろの名に、それぞれが反応する。