第1章 はじまり
三成 「いろは屋ですか?新しい書物を頼んであったのですが……。」
光秀 「あぁ…預かってきたぞ。」
荷物の中から数冊の書物を出し、三成に渡す。
三成 「ありがとうございます、光秀様。私のために行って下さったのですか?」
家康 「……信長様のつかいだろ。……話し聞いてろよ、三成。」
俺と三成のやり取りに、不機嫌そうな家康。
いつものことだ。
ことね 「はい、光秀さん。お茶どうぞ。政宗が作ってくれたお饅頭もあるよ。」
にこにことした笑顔で、ことねは俺に茶を入れ、饅頭を進めた。
光秀 「あぁ、お前にも土産を預かってきた。」
ことね 「私に?」
光秀 「お前の針子仕事に役立つだろうと。これを渡された。」
俺は懐から、ひいろが描いた動植物の画集を取り出し、ことね に渡した。
ことね が貰ってもいいのか、尋ねるように御館様を見る。
信長 「吉右衛門と会った時に、お前の縫った鷹の刺繍を褒めたので、お前のことを話したのだ。貰ってやれ。」
ことね は嬉しそうに頷き、画集を開く。中には、花などの植物と猫やうさぎ、鷹や鷺など動物や鳥などの絵が見事に描かれていた。