• テキストサイズ

イケメン戦国 ー とおまわり ー

第8章 触れる



「どうかされました?」

「……いや、初めてにしては上手いものだな」


誤魔化したように出た俺の言葉に、ひいろは素直に礼を述べる


「ありがとうございます。でも……」


そう言いながら、ひいろが懐から一枚の手拭いを出して見せる。

それは薄水色と薄黄色で真ん中から半分に染め分けられていた。左右の色はそれぞれに鮮やかに染まっているものの、色が混じりあう真ん中部分はくすんでおり、お世辞にも上手くできたとは言えないものだった。


「なかなか上手くいかなくて、何枚も染めました。一番上手くできたものが、光秀様のものです」

「そうか、色を変化させるのは難しいだろう。他のものはどうした?」

「家のものに……恥ずかしくて人様には渡せません」


そう言うとひいろは、手早く手拭いをたたみ懐へと戻し、少し拗ねたような顔をした。

薄黄色と薄水色を見た瞬間、俺の頭の中には家康の顔が浮かんでいた。
そのせいか、他の手拭いの行き先が気になって尋ねたのだか、何故だかひいろは気を悪くしたようだった。
/ 382ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp