第18章 Nobody(織田作之助)
ぶつぶつと言っていると、織田作が私の腹をなでながら言う。
「中原幹部やほかの部下には頼めないのか。」
「みんないっぱいいっぱいだもの。中也さんなんてそれを全部最終確認する義務があるから無理。まぁ、それは私も同じだけど…。」
あの人そろそろ倒れるんじゃないかなー、この時期いっつも熱だすんだよねー、と私は笑う。
「お前はもう少し自分の心配をしろ。去年はどうしていたんだ?」
織田作の声に、私はんー、と答える。
「一緒に熱だしてた。」
「…はぁ…。」
そら見たことか、と。
そんなため息をつかれ、私はクスクス笑う。
「ねぇ、織田作…。今年は大丈夫なんだよ。」
「何で言い切れる?」
「だって織田作がいるから。」
私がどれだけ貴方の存在に感謝しているか。
織田作、貴方は知らないでしょうけど。
「去年もその前も、何徹もしてたから熱だしたけど、今年は織田作のところに来たくて、頑張ってお仕事して、ここに睡眠取りに来てるから。」
だから大丈夫、と。
そう微笑むと、織田作がため息をついて私の肩に額を当てた。
「…ここに来るまで30分はかかるだろう。」
「たった30分で五時間も寝れる。」
「前日の徹夜と平均で二時間半だろう。」
「ここに来なければ一時間だよ。」
少しでも私を寝かせたいのか。
織田作は私を風呂から引き上げると、着替えろ、と脱衣所に立たせる。
「織田作は?」
「掃除して出る。寝てろ。すぐ行く。」