第17章 Cold water(福沢諭吉)
「真人だ!でかくなったね!」
友人に再会するなり叫んだ深愛に、その友人も驚いたように叫んだ。
「お前父親がいたのか!?」
「ねぇ、待って。私を見て。私も大きくなったでしょ?」
あとこの方は恋人です、と言った深愛に、男が唖然と口を開けた。
「…また随分年の離れた…。でもすげェ男前じゃん。やるな、お前。」
むふふ、と笑う彼女の横で、私は男に手を差し出す。
「福沢だ。いつも深愛に果実を送ってもらって感謝している。私も頂いたが、とても美味しかった。」
すると、男は驚いたように固まったあと、目を見開いて叫んだ。
「えぇえ!?福沢さんってあの!?探偵社社長のですか!?おぉぉおぉい、深愛、お前ほんとどうしたんだよ?」
「どうしたってなによ!なんか悪いの!?」
プンスコと怒っている深愛の横で、握手を交わす。
「よかったらコイツの昔の黒れ…思い出聞きますか?俺の知っている範囲なら話せますよ。」
「昔の深愛?それは是非聞いてみたい。」
「社長!!」
ヤメテ!?と頭を抱えた深愛を連れ、私達は旅館に入っていく。