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【文豪ストレイドッグス】愚劣なる恋愛詩

第2章 Quit (太宰治)


「全く…深愛も深愛だよ。何でこんな奴がいいんだい?顔かい?いや、寧ろそのぐらいしか思い浮かばないけども。」

 与謝野の言葉に深愛は苦笑して、内緒です、と言う。 

「たしかに、太宰の前職がわかった今、何故彼女が包帯無駄遣い装置なんかが好きなのかは、社の七不思議にランクインだ。」

「国木田君、その包帯無駄遣い装置っていうのやめようよ!?」

 いつから聞いていたのか、国木田君の言葉に深愛は相変わらず苦笑している。

「あれ?みなさん揃ってどうかしたんですか?」

 賢治くんがやってきて、話に加わる。

 敦君が大まかに話の流れを伝えると、賢治くんは朗らかに言い切った。

「いやぁ、たしかに太宰さんは顔以外はダメダメですけど、それがいいっていう女の人もいるんじゃないですか?」

「賢治くん…悪気がないとわかっているから私は辛いよ…。」

 思わず机を突っ伏すと、くすくすと深愛が笑っているのが聞こえる。

「全く…。深愛、あんたいつか後悔するよ。悪いことは言わないから、そのバカはやめておきな。」

「そうだな、太宰のクソだけはやめておけ。」

「僕は深愛さんが心中に巻き込まれさえしなければいいです。生きてさえいればいい、ですから。」

「うーん、僕も深愛さんの好きでいいと思いますよー。」

 結局深愛は、何を言われてもクスクス笑うだけで。

 君は一体私のどこが好きなんだい?

 そう聞こうと思ったのに、タイミング悪く入ってきた乱歩さんに連れられて、深愛は仕事に行ってしまった。

 そのままその日、彼女は社には帰ってこなかった。
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