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【文豪ストレイドッグス】愚劣なる恋愛詩

第10章 Let me love you (中原中也)


「前回の六倍だなんて。中也君、随分愛してあげてるんだねぇ。」

 首領の言葉に、中原は不敵に笑う。

「まぁ、俺が止めなければもっと被害は拡大していたでしょうが。」

 あらま!と鴎外がわざとらしく口元に手を当てて深愛を見る。

「深愛くーん、聞いたかい?君、あれでまだ本気ではなかったようだよ。愛されてるねぇ。あ、僕のエリスちゃんほどではないけどね?」

「~~~~~っ!」

 声にならない声を上げて顔を手で覆ってしまった深愛を横目で眺めながら、中原はくつくつ笑う。

「いやぁ、このままでは結婚して子供が生まれたときが心配ですね。そうなったが最後、そのうち人類は絶滅でしょう。男にやる気が無いんじゃ子供が生まれませんから。」

「中也さん!」

 流石にからかわれていると察したのか、真っ赤な顔で深愛が怒りを露わにする。

 ニヤリ、と笑いかけ、首領に挨拶をすると、中原は廊下に出る。

「…酷いです、中也さん。人のことからかって。」

 すっかりふてくされている深愛を見ながら、中原は肩をすくめた。

「仕方ねェだろ。間違ってはいねェんだから。」

「間違ってます…!」

「何だと!?」

 ぎゃあぎゃあと言い争う様子に、構成員たちが物珍しそうに見ていく。

 結局その言い争いは、中原の卑怯な殺し文句の言い逃げで終わる。

「間違ってねェよ。だって俺はお前のためなら、三千人だって三万人だって殺せるんだからな。」









(世界一物騒な愛の証明。)
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