第6章 How deep is your love? (福沢諭吉)
「You are my guiding light. I will be with you. Anytime, anywhere, whenever you want.Loving you like the crazy, my heart burn because of you.」
「…随分と感情のこもらない言葉だな。」
訝しげに言った社長に、そうなんだヨ!と売人の男が言う。
「てなワケでもう一回。」
「は?嫌ですけど。」
「イヤイヤ、もっと気持ちを込めてくれないとネ。」
うるせぇ、と思わず悪態をつきながら、私はそのくっさい口説き文句を見た。
なんだかこれ、社長に対する私の気持ちみたいだな。
こいつは私の恋愛模様を知っているんじゃないだろうか。
あぁ気持ち悪い、と思いながらも、社長への気持ちのようだと思った途端、気持ちのこもった言葉が口から流れ出てくる。
いつの間にか体は社長の方を向き、頬は紅潮する。
それでも、言葉は止まることなく、すらすらと口から流れ出た。
ぱちぱちと拍手が起こり、ハッと顔を上げると、店の従業員だけでなく、周りの客まで聞いていたらしい。
はやし立てる声が聞こえ、私は茹で蛸のように真っ赤になった。
「ナールホドー。キミはその男が好きだったのか。道理でちっともなびかないワケだヨ。」
そう言うと、売人はオレンジ三つを私に持たせた。
「今日はお代はイイヨ。その代わりまた買いに来てくれヨ。」
「あ、ありがとうございます…。」
よかったな、と社長に頭を撫でられ、私は赤面した。