第6章 How deep is your love? (福沢諭吉)
「さて!社長、ここがアメリカ直送の例の柑橘類を売っている店なのですが…。」
「どうかしたのか?」
「ここの売人が少々面倒なんですよ…。」
ほう?と言った社長とともに中に入ると、目にも留まらぬ速さで何かが飛んでくる。
飛んでくる、というより、飛びついてきた。
「Hello!My pumpkin!今日は一段と綺麗じゃないか。」
「うわ…もうほんとやめてください。」
私が半眼で言う横で、社長が首を傾げた。
「ぱんぷきん…?」
「アメリカではハニーとか、マイスウィートとかと同じ意味だそうです…。」
「……ほぅ?」
ぴくっと社長の眉間が動いたのは見間違いではないとして。
「さっさとオレンジ売りやが…売ってください。」
「いやいや、いつも言っているダロ?僕の用意したこのセリフを言わないと売ってあげないヨ。」
出た、と私はため息をつく。
「嫌ですよ、気持ち悪いですもん、主に貴方の反応が。」
「読まないと売らないヨー。」
この金髪碧眼ド変態め。
そういう容姿のキャラって普通王子様のように紳士なのでは?
そんなことを思いながら、渡された紙を受け取り、私はうげ…と声を漏らした。
「む…英語か。なんと書いてある?」
「…とても気持ち悪いことです。」
私はそう言いながら舌打ちをする。
そして息を吸うと、流暢に棒読みを始めた。