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【文豪ストレイドッグス】愚劣なる恋愛詩

第4章 【R18】Into you (中原中也)


 このまま襲ってしまおう、と思っていた中原だが、やはり先ほどまで深愛に口説かれていた男への嫉妬の炎がくすぶったまま、消えてくれないのである。

 形のいい脚を撫でながら、中原は深愛の耳元に唇を寄せた。

「なァ、深愛…俺を口説けよ。」

 耳から首筋にかけて唇を這わせると、んっ、と鼻にかかった声が深愛の口から漏れた。

 それだけで熱くなる腰を何とかなだめ、その白い肌に舌を這わせだす。

「…っ、中也さんに異能を使えって言うんですか…っ?」

「ちげェ。そんなお粗末な口説き文句はいらねェ。テメェの言葉で口説け、それだけで十分だ。」

「夜の女性が一度は抱かれたいと思う貴方がですか…?冗談も程々にしてください。」

「バァカ、好きな女に口説かれて落ちねェ男がいたら、そこに愛なんて存在しねェよ。」

 たまにはそっちが誘ったっていいじゃあねェか、と中原は内心ほくそ笑む。

 深愛はこの期に及んでしばらく悩んでいたが、やがて意を決したように中原の首に腕を回し、耳に唇を寄せた。

 細く震える呼吸が聞こえ、中原の鼓動が急速に早くなっていく。

「……抱いてください…中也さん…。中也さんじゃないと嫌なんです…。」

 中原は見えないように意地悪く笑いながら、沈黙を貫く。

 まだ足りない、と言われているのかと思ったのか、深愛は熱い吐息を中原の耳に吹きかけながら、更なる殺し文句を浴びせてきた。

「…中也さんのキスが好きです…あれをされると、もう何にも考えられなくて…息をするのも辛くなってくるんです…。」

 中也さん…と切なげに呼ばれた途端、中原のギリギリ保たれていた理性がブツンッと鈍い音を立てた。


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