第25章 Sweet but psycho(太宰治)
一体何が言いたいんだ。
私はいつだって死ねる、いつだって一緒に死んでくれる女性を探してる。
今すれ違った彼女でもいいんだ。
誰でもいい、けど誰かと死にたい。
けれど、最近は…。
ふわりと柑橘の香りが鼻腔をくすぐった。
いや、くすぐったような気がした。
ズクン、と熱をもった体に、思わず眉を潜めた。
誰でもいいんだ。
私を満たしてくれるなら。
だけど最近、どんなに女を抱いても空虚感しか残らない。
熱をもてあまして、けどどんなにそれを捌けても満足できない。
どんなに乱暴に酷く抱いても、まだ熱くて熱くて、燃えそうな自身を静めるのにどれだけ苦労することか。
嗚呼!
抱きたい…!
この熱を解き放ちたい…!
熱く蠢く蜜壺に白濁とした欲望を吐き出せたのなら、どれだけ楽なことか。
否、そんなことはいつでもできるのに。
現にできているのに、満足できない。
アラームが鳴り響いている。
このままじゃ弱くなる。
けれどこの熱を解き放ったとき、きっと私はもっと弱くなる。
だから彼女を、私は絶対に抱いてはいけない。