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【文豪ストレイドッグス】愚劣なる恋愛詩

第20章 Kiss me quick(太宰治)


 私が恋人としてのスキンシップなんかには満たないくらい些細な事だ、という意味で使った言葉は、恋人以外にもしていいスキンシップという意味なのか、というありえない返事で返ってきた。

「…なわけないだろう?いいからキスしてくれたまえよ~、ここで襲ってしまうよ~?」

「やめてくださいよ~。」

 彼女の背にぐでーっと伸びて、間延びした声を上げれば、彼女も同じように間延びした声で返してくる。

「あーあー、このままじゃあ仕事できないなぁ。」

「あーあー、このままじゃあ国木田さんがお迎えに来てしまうなぁ。」

 くぉら太宰!と。

 タイミングよく入ってきた国木田くんに、落胆が隠せない。

「別に本当に入ってこなくてもいいのだよ、くにきぃだくぅん…。」

「マヌケな声を上げるな、木偶が!さっさと仕事に戻れ、このままじゃ残業確定だ。」

 全くお前はいつもいつも俺の予定を云々。

 はいはいと返事をしながら、深愛から離れる。

「あーあ!深愛が私にキスしてくれたら十倍速なのになぁ!」

「貴様殺されたいのか、早くしろ。」

 へーんっと。

 へそを曲げてしまえば深愛がクスクス笑っていて。

 今夜覚悟しておけよ、なんて心のなかで呟いた。
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