rain of jealous【黒バス/ナッシュ】
第1章 rain of jealous
「ッ・・・」
ナッシュは後ろからまずは手を伸ばし、彼女の目線に来るよう、上下の下着を宙でふらつかせた。
当然、自分の下着が目の前に突然翳されて、名無しは大きく目を見開いたのだけれど、そこはおかしな声を上げそうになったのを寸でで堪えた。
何もなかったかのように電話を続けるしかなかった彼女に対し、すぐにナッシュは次の行動に移り、その細い身体をぎゅっと抱き締める。
一度見せて驚かせた後は、下着は既に用済みだ。
そう思わせんばかりに、デザインの凝ったそのセットは名無しの服の上へポンと投げ置かれ、名無しは抱擁された反動で、両膝をソファにつき凭れこんだ。
「・・・・ちゅ――・・・ん・・」
「ッ・・―――、うん・・・、そう・・・でもそれだと・・、・・・!!・・・っ・・」
「そのまま話してろ・・・バレるぜ?・・・ん・・」
振り向こうとした勢いの所為で、髪に宛がっていたタオルは床に落ちた。
それゆえ空いた片手は倒れ込みきらないよう、本能的にソファの背もたれへと向かわせた。
両膝による重み、ソファに掛かった重心が二点に集中すると、名無しは手をついていてもバランスを崩しかけた。
けれどそれを止めたのは他ならぬナッシュであり、彼は自分が着せていた、名無しが此処で過ごす際愛用していたTシャツの中にひっそりと両手を忍ばせる。
携帯はもう肩と耳で挟み持つことは不可能で、左手でしっかりと支えられている。
背もたれを掴んでいた右手でナッシュを振り掃うことが出来なかった名無しは、十分な抵抗も出来ないまま、抱擁を受け入れた。
そして通話の最中に悪戯を仕出かす彼にたじろぎながら、胸元に大きな手が向かうのをただ見ていた。