rain of jealous【黒バス/ナッシュ】
第1章 rain of jealous
「!・・・っ、・・え・・・?っわ・・・、見・・」
「~・・・出るわけねえだろ。見てもねえよ・・・よく鳴ってたから多分電話だ・・・問題ねえなら掛け直してやれ。どうせツレだろ?おまえの」
「あ・・・、うん・・。・・・!ほんとだ・・、ありがと・・・―――」
背も高く、明るい髪に目鼻立ちの整いすぎた端麗な顔。
白い肌に羽織るローブ姿は、まるで色気しか漂わせることを許されていないかのような風貌にさえ見える。
入浴時間の長かったことを指摘されても、動揺するというよりは、はいはいと受け流した方が自然だということを名無しは自分なりに学んでいた。
軽く流せたと内心自負するも束の間、携帯を投げられるというまたイレギュラーが舞い降りたものだから、結局慌ててしまうあたりも自分らしいなと皮肉に思う。
「・・・・・・」
ナッシュに放られた携帯は自分のそれで、一度ボタンを押せば、彼が言うように不在着信の表記が残されていた。
掛け直してやれ、なんてどういう風の吹き回しか分からなかったけれど、そこに深い意味はきっとないのだろう。
たとえ会う場所が殆ど決まっていても、本当に自然に、同じ時間を過ごす様になったのだなと感じる瞬間だった。
ただただ不自然だったのは、自分たちの何にもなりきれない歪んだ関係だけだ――。