rain of jealous【黒バス/ナッシュ】
第1章 rain of jealous
一人くよくよしても、感傷的になっても、時間は進むし物事も動く。
結局、借りた大きなTシャツに躊躇なく袖を通す・・・そんな自分もまた馬鹿なのだ。
衣類に残る好きな香りに包まれて、バスタオルを頭と首にかけ寝室に戻る――。
「・・・・・」
ベッドに腰を下ろしていたナッシュと目が合うと、彼は早速、名無しの触れて欲しくないことを口にした。
「遅かったな」
「、・・・ん・・普通だよ・・・別に・・」
「?・・・・まあ好きなだけ浴びりゃあいいが・・・それはそうとおまえ、携帯・・・鳴ってたぜ」
シャワーを浴びているあいだ、名無しは、ナッシュは既に外出する準備を終えているのではないかと一人ぼんやり考えていた。
とはいえ何の予定もないと聞いてはいたし、洗面所のランドリーボックスにバスローブが見えたゆえ、勝手にそう思っていただけなのだが。
名無しの予想は結局大きく外れており、ナッシュがその場で羽織っていたのは私服ではなく、別のローブだった。
枕元に置かれたペットボトルは・・・炭酸水だろう、それを片手にベッドの上で足を組み、悠々とリラックスしている様子を見せつけられる。
ボトルの中を少し口含みながら、濡れた唇を親指で拭う姿は腹立たしいほど様になっていて、表情を崩さないよう、頬を染めないようにすることに名無しは必死だった。
タオルで少し濡れた髪を拭き、ソファに座ろうとする。
そこへ、ふいにナッシュによって彼女に放り投げられたのは、自身の携帯だった。