rain of jealous【黒バス/ナッシュ】
第1章 rain of jealous
「フッ・・・。悪くねえな・・・その思い悩んだカオ。暫く見ていても飽きねえんだろうが、まあいい・・それだけだ?ハハ・・・ッ・・」
「・・・?!」
ソファに押し座らされた名無しは、顔の左右にナッシュの腕が伸び、そこから逃げられないよう強いられていた。
ゆっくりと近付けられた唇が触れ合って、動揺と困惑に満ちた表情をまじまじと確認される。
開かされた足はなおも膝と併せて震えており、ナッシュにキスをされると、名無しにはこのソファが、ベッドの代わりになるすぐ先の未来がぼんやりと見えた。
激しい舌の絡め合いにも抗えず、従順にその部位を伸ばし、器用に蠢かす。
舌先同士が離れても、そこで唾液が橋となり、二人を静かに繋げていた。
「オレも最近よく言われるぜ・・・?あいつらに。シルバーなんかは特に敏感だからな・・・身近な雌の存在ってやつには」
「ッ・・・え・・?!」
「・・どうも女の匂いがするんだと・・・オレからな。ハハ・・・ッ不思議だと思わねえか?おまえと違って、オレは使ってるモノは何も変えちゃいねえ・・ただおまえを抱いてるだけだ」
「・・・冗談・・!それはナッシュが・・・どうせ他のヒトと寝、て・・・・、他のヒトの・・・」
「!――チッ・・・、バカか・・・」
「ッ・・ん・・・!!」
ベッドとは少し違った鈍い響き。
それはナッシュが重心をかけた為に、ソファの脚が軋んでいた音だった。
ナッシュは名無しに濃密に口付けながら、頭の角度も何度も変え、その口腔を執拗に犯した。
橋が途切れ、彼女の顎に伝った唾液を舌で舐め取ると、続けて這わせた先は頬から耳元へ。
いつもなら、一度鼻をスンとさせるだけで、名無しを包むボディソープの香りを感じることが出来た。
が、今はそれがなく、ただ名無しの肌の匂いと、少しの汗ばんだそれがするだけだった。
勿論ナッシュはその匂いも好んでいたし、今となっては、名無しが身体を洗わなかった理由を知って、胸の中では高揚感を抑えられなくなっている。
自分に耽り、溺れ、見えない女の幻影に妬き、葛藤している・・・。
どんな形であれ、きっかけであれ、誰にも関係を知られない為に彼女が尽した最善の果てをこの目で見受け、昂りがこみ上げた。