第1章 ※原作より過去に戻る
それは褒められているのだろうか…と思いつつも苦笑いで確かに間違いありませんねとまた頷いた。
+++
「ふむ…君の作るビーフシチューは絶品だ!この私の舌を唸らせるとは素晴らしい!」
「元々日本人は食の文化において味に煩いですからね…」
エミヤも玉藻も清姫も東洋だから、味覚も私と似ているのだろうと思う。だからこそ西洋のモリアーティと味覚が違っていたらどうしようかと思ったが、いらぬ心配だったようだ。彼からすれば馴染みのあるフランスパンを買って良かったと安心する、しかし固くはないのだろうか?
「立子…今とても失礼な事を考えたのではないか?」
「すみません、アラフィフなので歯の心配をしました」
「私はまだまだ現役で若いよ!確かに腰はピキっと来てしまっているがネ!」
えっ、なにそれやっぱり大丈夫じゃなくない?と言うかサーヴァントなのに腰の痛みがあるなんて、生きているんだなーとフランスパンを口にする。あっ…そうだ、モリアーティに言いたい事があったのを思い出した私はビーフシチューを口に入れる彼を見た。
「労るついでに新しいサーヴァントを召喚しようかと思うんですけど…構いませんか?」
「マジかネ?」
「えぇ、マジです」
「まさかとは思うが…フラグを回収しようと思ってはいないか?」
「そうでしょうね。本当は善処したい所なんですけど、単発で来そうなんですよね…この世界自体が事件は転がり落ちてますし」
「立子は私の事が嫌いなのかネ」
「いいえ、寧ろかなり頼りにしていますし…対等な友人として今後とも仲良くして頂けたら光栄の至りに存じますとも」
「ならば他はいらんだろう、いらんと言え。マスター」
なんだこの熟年夫婦の会話見たいな会話は。色々と反応に困るし不貞腐れたモリアーティがちょっとばかり面倒臭い。まぁ…これもきっと絆レベルが上がっている証拠なのだろうとは思うが、そんなに駄目だろうか。宿敵であり良きライバルのシャーロック・ホームズだと言うのに…一体なにがそんなに不満なのかと不思議に思い聞いて見る。
「不満か…そうだ、とても不満だとも!なぜなら超絶イケメンのシャーロックが隣にいたら私のアラフィフ紳士が霞んでしまうではないか!」
まさかそんな理由か!と私は頭を押さえて考える。まぁ…必ずシャーロックは来る予想は出来ている為、後は待つばかりかと夕食を口に運んだ。