第11章 初めては視線と共に
うわぁ…どうしよう…見つかったら絶対叱られる…、もっとキャップを目深にかぶりマスクを鼻の上まで上げる、これならバレないでしょっ。
知らんぷりで魚屋の前を通り過ぎようとした時、なぜか十四松お兄ちゃんが顔を覗きこんできた…ヤバイッ!!
「なみえちゃん?アハハーっ!なみえちゃんだぁーっ!何してんのー?」
や、やめて…バレるぅっ!冷や汗が出てきた…。
「ねぇねぇ?どこいって来たのー?」
「ちょっと!十四松兄さん何やってんの?知り合い?」
「だってトド松、この子なみえちゃんだよっ!!」
「えっ?なみえちゃんっ!?何してんのこんなとこでっ!!」
『やめてっ!!なみえじゃありません』
「あれっ!やっぱりなみえちゃんじゃん♪」
「どうしたんだ?リトルブラザー達!何やってるんだ?」
うぁ…カラ松お兄ちゃん…もう逃げる方が早い…?絶対叱られるっ………。
あれ?でもまてよ…、おそ松お兄ちゃんはあの時なんて言ってた…?誰か絶対家にいるって言ってたよね…でも、お兄ちゃん達は私の事なんかほっといて自分のリスペクトしてる幼馴染みに皆して会いに来てる…私は?家の為の買い物で出てきただけだよね? なんで叱られなきゃいけないの?理不尽じゃない?あれ…なんかむしょうに腹がたってきた…。
『人違いですっ!!』
そう言って駆け出した…やっぱり私ってバカだよね…何が私だけのカラ松お兄ちゃんよ…身体と心はちぐはぐじゃん…。
あ…いつの間にか河川敷に来てたんだ…なんか家に帰りたくないな……どうせ理不尽に私が責められる事しか言われないんだろうし…。
幼馴染みは自由に行動出来てお兄ちゃん達に無償で愛されてさ…私は…カラ松お兄ちゃんと離れたくないからお兄ちゃん達の条件を飲んだのに、そりゃ、決めたのは自分だけど…でも…その代わり自由が無くなったし…。
なんか泣けてきた……私って何なんだろ…今凄く幼馴染みに嫉妬してる…相手にされてないって言ってたのに…ただの幼馴染みだよ!?向こうはその気もないんだよ…なのに…なんで…なんでなの!?
……あぁ…そっか、私だけって言ってたのに…私が知らない所でそうゆう行動してて裏切られた感があるからだわ…ただ玉子買いに行っただけなのになぁ。
はぁ…帰ろ…結局私の帰る所はあそこしかないんだし…。